岡山家庭裁判所 昭和41年(少)4474号・昭42年(少)35号
主文
少年を初等少年院に送致する。
理由
(非行事実)
(1) 司法警察員藤井勇作成の昭和四一年一二月二五日附送致書記載の強姦致傷の事実
(2) 司法警察員藤井勇作成の昭和四一年一二月二八日附送致書記載の恐喝の事実
(但し 二の中「同年一二月○○日」とあるのを「同年一一月○○日頃」と訂正する。)
(適用法条)
強姦致傷の行為に対して 刑法第一八一条、第一七七条前段、第一七九条
恐喝の行為に対して 各刑法第二四九条第一項
(処遇)
本件非行事実は本件記録並びに審判廷での少年の自供により明らかである。ところで、本件記録並びに調査官の調査および審判の結果によると次の事実も認められる。即ち、少年は非行歴としては昭和四一年七月八日当裁判所において暴行罪で審判不開始の決定を受けたのみであるし、知能は準普通域(I・Q80)で知的活動には著しい異常は認められないが、情緒が不安定で外的刺激に対して不相応の興奮を示し自律性も乏しく自己抑制力が弱い。祖母育てのせいか我儘であるし、てんかん性の性格の疑いもある。家庭環境は現在では悪いとは思われないし、両親の保護能力もないとはいえないし、保護者は本件後いろいろと処置を考えているようでもあるが十分には期待が持てない。被害者への謝罪と弁償は保護者においてなされているが、本件非行事実の性質、態様、事後の情状は重大であつて軽い処分では済まされない程である。
以上を総合してみると、たとえ少年が現に中学三年生での卒業期までわずか三ヶ月位の短い期間しかないし、将来進学の道をとるため、この際一応試験観察決定という構想もあるが、その成績については期待が持てなく失敗する公算が大きいと思われる。むしろ、この際、少年の義務教育の完遂とその資質性格の矯正のためにはこの処置を施行する施設に収容するのが最も好い措置と考えられる。
よつて少年法第二四条第一項第三号、少年審判規則第三七条第一項、少年院法第二条第二項に則り主文のとおり決定する。
附添人抗告申立理由
一 岡山家庭裁判所に於てなされた初等少年院送致の決定は次の理由により著しく不当であると思料するから抗告を申立てる次第である。
二 少年は本件以前に於て特に重大な非行歴がなく、本件も他の少年事件と比較し必ずしも少年院に送致を要するものとは考えられない。
三 本少年の家庭の保護能力は不十分とはいえない。
四 本少年は精神の不安定な点が多少あるが、これは服薬の継続により十分防止できる。
五 本少年は剣道に特に秀で(現在初段で近く昇段できる程である)これを生かし○○○大学高等学校に入学が殆ど決定している。右高等学校から大学部への進学は確定的であり、同大学は名の通り武士道精神に基き質実剛健な青年を教育するため特に厳格な教育を施していることで有名であり、少年も学校の寮に入り、同大学四年の長兄並に学校の特別の指導の下に起居せしめれば団体訓練を経て有能な社会人となり得る公算が大である。また少年の知能指数は一一〇であるから、十分大学教育に適するものである。
六 然りとすれば、本少年は少年院送致よりむしろ進学の道を選ばせる方が少年の将来に好ましいと誰しも考えられる。
七 尚右大学高等学校への進学手続は至急進めねば時機を失し回復すべからざる損失を